2021/09/18 16:04

COLONY CLOTHINGにまつわる魅力あふれる人たちを紹介する新連載。

第1回は、南米コスタリカより、Kai Elmer Sottoさん。(後編) 前編はこちら

グローバルなエレガンスを知り、確固たる自身のスタイルをもっている彼に、

COLONY CLOTHINGの魅力を語ってもらった。

原稿/藤田雄宏 写真 /Kai Elmer Sotto


ファッションはツールで、

COLONY CLOTHINGは私のメンター

さて、ファッションについてカイさんは非常に興味深いことを語っていた。

「服やファッションに関してはツールだと捉えていて、私は常にリスペクトをもってそのツールを選びます。例えば誰かの家に招待されたときは、その人への敬意を表すために、その場にふさわしい服を選んでその人の家を訪れますし、仕事のときは仕事の内容や会う相手のことを一番にどういう格好で行くかを考えます。サーフィンに行くときも同様に、サーフィンに行くツールは何がベストかを考えます。同じようにカンボジアに行ったらカンボジアに適した服装がありますし、ナポリでは美しい仕立てのスーツを着たいです。そのツールを選ぶことで、すなわち自分がそれを身につけることによって、自分自身が心地よくなれて喜びを感じられること、そこが大切だと思っています。」


Photo by Bailey Richardson


カイさんにとって、COLONY CLOTHINGとの出合い、コウゾウさんやケンさんとの出会いは非常に大きなものだったそうで、シンガポールでの生活がより豊かなものになったという。

COLONY CLOTHINGは単なるブティックではありません。ただ美しい服が置いてあるだけの店なら他にもありますが、コウゾウさんとケンさんは私にとってメンズファッションのメンターのような存在です。COLONY CLOTHINGはシンガポールの人たちに“想像力”を与えることをすごく大切にしているように思います。まず彼らはシンガポールの生活の中で、服がどのようなシーンで使えるかを教えてくれましたし、私という人間を知ってもらっていくなかで、私のライフスタイルにより踏み込んで服がどう生活を豊かにしてくれるのか、とても自然なかたちで教えてくれました。彼らに出会うまでは、雑誌で見て気に入ったものから選んで着ていたのですが、二人からは“Less is more(少ないほうが豊かである)”の精神、 ひとつの気に入ったものを大切にしていくことの豊かさを教えてもらいました。私がそうなっていったことで、私の周りの人間も影響を受けはじめて、結果、私の友人たちは服というツールに対してすごく興味をもつようになりました

COLONY CLOTHINGはシンガポールの地で、確実に“服を楽しむ”という文化を広めている。

「シンガポールの人たちはすぐそこにCOLONY CLOTHINGがあることが、どれだけラッキーなことであるのかに、まだ気が付いていません。東京やミラノやパリは自然とそういった環境が出来上がっていますが、シンガポールにそれと同じかそれ以上に素敵な店があるというのはすごくラッキーなことなのです。私は彼らのことをメンズファッションの大教授、大学を卒業してからPh.D.(博士号)を取るところの教授だと思っています。だから、私がCOLONY CLOTHINGで服を買うときは、ツールを買っているという感覚よりも、授業料を払っている感覚に近いかもしれません。買った服は自分の生活の中で長く付き合っていく相棒のような存在となり、そういった経験から吸収していって、私は学べているのです。」

Kai Sotto. Photo Credit : Ivan Kuek


すべてから解き放たれた真のラグジュアリーリゾート

Photo by Andrés García Lachner

コスタリカのセカンドハウス。リビングの壁は必要ないと思ったので省き、キッチンも大きなものは必要ないと考え、最低限のコンパクトなもの。それが自分にフィットしていて使いやすくて心地がいいという。


さて、話は変わるが、カイさんは南米コスタリカの人口5000人くらいの小さな町に新しく家を建てたのを機に、ここ半年ほどはコスタリカに住んでサーフィン三昧の生活を送っている。家から海までは徒歩3分だという。

物質的に何か特別な贅沢があるわけではないが、真のゆったりした時間が流れ、そこには人間本来の営みである自然に寄り添った本質的な豊かさがある。

カイさんはこの6カ月のあいだ1度も靴を履いたことがないという。それほど自然に寄り添った生活をしているのだ。服に関してはここでも使えそうなお気に入りのものだけを持ってきたそうで、多くはCOLONY CLOTHINGで購入したものだという(とはいえ大した数をもってきたわけではない)。


そこにあるのは、ただただ静寂。


コスタリカの海辺で重宝している

COLONY CLOTHINGの服たち


「ここではカモシタ ユナイテッドアローズのパイル地のオープンカラーシャツをとても重宝しています。サーフィンで穿いている水着もコロニークロージングで購入したものですし、コスタリカでは靴も履いてないくらいなので、服はずっと同じものを着ていて、やっぱりコロニークロージングでシャツやTシャツ、ショーツとサンダルくらいしか要らないんですよね。でも、彼らの服は上質でナチュラルで、心地よく、リラックス感にあふれ、ここのフィーリングにもすごく溶け込んでくれるんです。」

カモシタ ユナイテッドアローズのシャツが、こんなにも自然なかたちで着られているのだから、鴨志田さん、聞いたら喜ぶだろうな! これがより豊かな究極のラグジュアリーリゾートなのかもしれない。


Photo by Marine Jaud


カイさんはコスタリカに住み始めた今でこそスーツと無縁の生活を送っているが、もちろんスーツを着る機会は多々あり、自身もテーラード好きだ。

「私はラギッドなテーラードスーツ、特にナポリのウールやコットンのスーツを好んで着ています。COLONY CLOTHINGで作った中で特に思い出深いのは、リングヂャケットのダブルブレステッドのタバコカラーのコットンスーツです。もともと私は着れば着るほど味が出てくるヴィンテージのような服が好きなのですが、リングヂャケットのスーツはまさにそんな感じで、シワもいい感じに楽しめますし、使い込んで色が褪せてきた感じも気に入っています。長年履いているオールデンのチャッカブーツと合わせることが多いですね。」

イタリアを中心とするヨーロッパのファッショニスタの真似ではなくて、グローバルに通用するスタイルをもっているのも、カイさんの魅力だ。どこの国でもリスペクトされる人格をもち、それにふさわしい着こなしをカイさんは見せている。


20 代のときは30代に、30代のときは40代に、

40代のときは50代に見える服を選ぶようにしてきた


COLONY CLOTHINGで服を選ぶ際、コウゾウさんとケンさんの提案はいつも異なっていて、私の“素”の好みはケンさんのスタイルに近いものがあります。でも、COLONY CLOTHINGが素敵なのはコウゾウさんは私が着たことないような服を新たに提案してきて挑戦させようとしてくれ、それをケンさんがアレンジして私らしいスタイルに近づけてくれるところにあります。ふたりの提案が上手い具合に合わさって、その中で私はずっと着ていくことを念頭に服を選んでいくわけです。20代のときは30代に見える服、30代のときは40代に見える服、40代のときは50代に見える服を選ぶようにしていて、いつも頭の中に描いている将来の自分がありたい人物像を思い浮かべながら服を選んでいます。」

ちなみに、先ほど話に出たリングヂャケットのスーツも、カイさんが最初にコットンのスーツを欲しいと相談し、ケンさんがタバコの色を提案してきて、コウゾウさんがダブルにしたらどうかと提案してきて、人のアイデアが合わせて作ったものだという。


COLONY CLOTHINGで仕立てたリングヂャケットのコットンスーツ。Photo by Kaila Sotto


The Sartorialistのスコット・シューマンさんと会ったとき、リングヂャケットのダブルブレステッドのスーツを着ていったのですが、素材、色、仕立ても含めてとても素敵ですごく似合っていると褒めてもらいました。私と彼は身長も含めて体型が似ていることもあり、彼も私と同じスーツを作ろうかなと言っていたくらいです」

さて、写真の話になるが、今回掲載している素敵な写真の数々は、ほとんどカイさんが撮影したものだ。

「私はいつも何かを目標にして勉強をします。数学が苦手だと思っていたのでコードを書く勉強をしましたし、人生の中で海と関わりがないと思っていたのでサーフィンを始めました。同じように自分は芸術的でないと思っていたので、インスタグラムで働き始めた2014年から写真を撮り始めました。ライカを愛用していますが、カメラも服と同じようにツールと捉えています。写真を撮る際はファインダー越しにその人の内面を覗いているわけですが、目的を達成するために必要だったツールがライカだったわけです。寿司職人の包丁は切れ味だけが大切なのではなく、それを使っていてどういうフィーリングになれるかもとても大切だと思うんです。服も同じで、その服を着ることだけが大事なのではなくて、着てどう感じ、自分の心がどう心地よくいられるかを自分は大切にしたいと思っています。ライカのカメラは見た目も好きですし、それを使っている自分も、出来上がった写真もすべてが大好きです。ライカというツールを選んだ理由は、すなわち使うことに大きな満足を得られるからです。」


カイさん、カッコよすぎるじゃないか。

「あ、明日は忙しくて朝の3時半に起きないとけないんです。コウゾウさん、ケンさん、じゃあね!」

もちろん、忙しいっていうのは、もちろんサーフィンに決まっている。

Photo by Coconut Harry's


Photo by Bella Sotto

娘たちと共に Photo by Aaron Zifkin




Photo by Kai Elmer Sotto

藤田雄宏 Yuko Fujita 

1975年、東京都生まれ。大学生のときからファッション誌の編集に携わる。2014年に創刊したTHE RAKE 日本版の副編集長兼ファッション ディレクター。THE RAKEのイタリア支局員としてナポリに駐在した経験もあり。2019年には自身の会社アフターアワーズ(https://ahours.jp)を設立。今気になっているヒト、モノ、コトを紹介しながら、シンプルな上質をテーマにしたオンラインショップを運営している。