2021/10/07 20:01

こんにちは。河村です。

私はBEAMSで働いていた時にジョージクレバリーのビスポークオーダー会を担当していました。
20年近く前のクレバリーといえばBEAMSが販売している既製革靴の中でも最も型数が多く、恐らくBEAMSのドレス部門で働いている殆どのスタッフがクレバリー(またはその前身ポールセンスコーン)の靴を持っていました。
そんな人気のクレバリーの中でもビスポークシューズというと全く別格の存在で、お客様も著名人を含めそうそうたる顔ぶれで、正に世界最高峰の革靴のオーダー会でした。勿論、そのような目の肥えたお客様をご案内するのはBEAMSの歴史を知る数名のベテランスタッフなのですが、当時ビスポーク担当メンバーであった上司に抜擢してもらい、2003年から退社をする2013年までの10年間、ジョージクレバリーのビスポーク受注会を担当させてもらったのでした。

そこでは現CEOの父ジョージグラスゴー氏やマイスターのジョンカネーラ氏にイギリス靴のことを直接教わりました。
中でも強烈だったのは靴の色やデザインには作法が存在し、英国靴としての品格を守るために合わせてはいけない革とデザイン、コーディネートが沢山存在することでした。
お客様が間違ったご注文をお考えになられている時にはスマートに別のマッチングを勧めて、時にはオーダーをお断りすることもありましたが、ビスポークシューズをオーダーされるお客様は殆どが英国的作法をご存知で更にそれを楽しんでいらっしゃいました。

その中でもでオーダー内容や着こなしがズバ抜けて格好良いお客様がいらっしゃいました。あえて名前は控えますが有名なミュージシャンでいらっしゃるそのお客様は何足もビスポークシューズをオーダーされていて、その方の着こなしは英国的作法を理解した上で醸し出される独特な雰囲気をまとっていました。
私は常に羨望の眼差しで先輩スタッフとその方とのやり取りをただただ見て勉強させてもらっていたのですが、ある日その方のビルポークシューズコレクションの中から違和感のあるオーダーシューズを見つけたのでした。

それはブラックレザーにゴールドのバックルの付いたビットローファーでした。

イギリスのビスポークメーカー、その中でも英国的作法を重視するクレバリーらしからぬイタリア顔のそのデザインに驚き、なぜこのデザインをそのお客様はオーダーしたのか?そしてなぜクレバリーはこのデザインを断らなかったのか?自分なりの答えを探し、考えられる限りコーディネートの想像をしてみました。
そして、その上でジョージグラスゴー氏に私は言いました。
「僕もビットローファーをオーダーしたいです」
彼はこう言いました
「NO」
そして落胆していた私に少し時間をおいてゆっくりと説明をしてくれました。その内容は、そのお客様がなん足も英国的な靴をオーダーされ彼の醸し出す雰囲気やイメージが完成しているからこそ、あえてイタリア顔の英国ビスポークシューズという遊び(いわゆるハズシ)が成立するという話でした。若い私が真似して同じことをすることを格好良いとは思わないと彼は言いにくそうに、そして親戚の子供でも諭すように教えてくれたのでした。これは私とジョージグラスゴー氏との大切な思い出となりその後、更にクレバリーとの関係性は深まりました。
独立をした現在もジョージグラスゴーJr氏が父親の意思を受け継ぎ、変わらず私をサポートしてくれていて、COLONY CLOTHINGを開店してからは継続的にシンガポールに来てビスポークオーダー会も開催してくれています。本当に長い付き合いとなり彼らには感謝しかありません。



一昨年、クリエイティブディレクターとして高田がCOLONY CLOTHINGに加入して最初のビスポークオーダー会が開催されました。彼もBEAMSに長年勤め、クレバリーのビスポークシューズには当然ながら憧れを抱いていました。そして彼がオーダーした初めてのビスポークシューズ、それはビットローファーでした。


ジョージグラスゴーJr氏は何も言わず、そのオーダーを受けてくれました。そして既製品でもデザインから別注でThe COLONYというビットローファーを作ろうと言ってくれたのです。私はこの瞬間、運命的なものを感じずにはいられませんでした。そして今の私たちや、私たちのお客様だったらこのツイストした感覚を楽しみ、着こなしてもらえると確信したのでした。グローバルリズムの現在進行形を感じて頂ける新しい名品。是非お試しください。

そして、いよいよ今週末に東京にてこちらのビットローファー”The Colony” をご試着いただける場を設けました。完全予約制です。

10/9(土)11時よりオンラインショップでの販売も開始致します。
下記よりご確認ください。


常夏のシンガポールより
All Summer Long
Kozo